ボールベアリングの静音化と発熱対策
開発担当:加藤俊彦 課長
お客様の課題/依頼背景
軸受けには入出力側共にボールベアリングを使用していますが、お客様実機の仕様上、波ワッシャ等による定圧予圧がかけられず、内輪、外輪共に圧入固定の定位置予圧方式を採用していました。その為、適正位置で組立されないとベアリング隙間によるガラガラというベアリング異音が発生する問題がありました。また高負荷の為、温度上昇が激しく、内部のコイル焼損やモータケースの熱膨張によりベアリングの固定強度が弱くなり、ベアリングが抜けてくるという現象がありました。音と温度、2つの問題を解決するモータの開発を行いました。
解決策
妥協せずに良いモータを開発
音対策として、ベアリングメーカ様や台湾のモータ組立工場と打ち合せを重ね、繰り返し安定した予圧をかける圧入治具を製作し工法の改善をしました。量産での完成品検査では全数振動周波数によるベアリング音検査を実施しました。発熱問題に関しては、当初は空冷により熱を下げようとケースに風穴を開けてみたりしたのですが、異物混入等の弊害も考えられたので、最終的にはロータマグネットを強くし、コイル線径と巻き数で特性を調整することで解決しました。
お客様の商品スペックを表面的に満足させるだけではなく、金型品試作の段階に入っても課題同士が絶妙に影響し合っていて、繰り返し設計的な修正変更試作を行いました。お客様と一緒になり妥協せず、良いモータが量産化できて本当に良かったと思います。
特徴
- 既存品の仕様をモータの小型化でサイズダウンし商品化
- 小型で高トルクモータの開発が必要
- ダイヤフラム型ポンプ構造特有のモータ軸が揺動する課題を解決
- 長時間連続使用に耐える発熱対策
利用目的/シーン
医療機器で利用されるため、絶対的な信頼性が求められるモータ開発では小型化すること・スペック・耐久性が相反する要件になってしまうことがあります。
一般的にはこのようなモータをわざわざ標準的に量産するメーカは少なく、
月産数千台レベルでは部品調達、製造品質的な維持管理は簡単ではありません。
製品詳細
カスタムブラシレスDCモータ
敢えて特徴をもたず、お客様のご要望に合わせたモータの開発・試作・量産をいたします。
その他の開発実績
インナーロータ型の開発で振動問題解決
カスタムブラシレスモータ
開発担当:加藤俊彦 課長
多極・多スロットモータを極め続けます
フレームレスモータ
開発担当:吉川翔悟 チーフ
カスタムモータの検査装置をカスタム
JMSOL
Back EMF検査装置
開発担当:吉川翔悟 チーフ
中空軸モータに特化したカスタムモータの開発
中空軸モータ
開発担当:藤川和豊 事業部長
お客様のご要望を完全に実現したモータドライバ
カスタムモータドライバ
開発担当:藤川和豊 事業部長